[第2部] 20181224 宮沢和史@ロームシアター京都

<前書き>

・この記事では現在ツアー中の宮沢和史さんの「時を泳げ魚のように」の12/24京都公演の内容をセットリスト、MCなどのネタバレを含めて書いています。

・曲順やパフォーマンス、MCの内容やニュアンスについては僕の記憶をもとにフンワリと思い出して書いてます。事実と異なっていたり、そもそもご本人の真意等と異なった書き方をしている恐れもあります。

 

 

後半。幕が上がるとステージ中央にはアコギが追加で置かれてました。ありゃりゃん。

 

第2部の始まりは、宮沢さんの弾き語りによる"10月"。極東サンバの中でもストリングスとピアノが大々的にフューチャーされた綺麗な曲。THE BOOMとして最後のライブとなった武道館公演でもやってましたね。「喜びも悲しみも過ぎてしまえば/懐かしくなる時がきっと来るから」てフレーズが年を追うごとに響きを増しますね。

 曲が終わるとステージにタブレットスタンドが運び込まれます。新しい試みか? とドキドキしていると、写真展の告知。東京で好評だった自身の写真展を大阪でもやる、とのこと。タブレットを必死に手繰りつつ日取りなど告知。

 

今回のツアーではTHE BOOM〜ソロ〜GANGA ZUMBAまでの曲達からどれを歌うか、とても悩んだ、という話が度々出ていました。「今まで書いてきた曲を振り返りながら考えました。"夜道"…は、無いな。"雪虫"……もないな」「THE BOOMはこれまで同じ場所で生まれ育ってきた4人が(一人違う人けど)、初めて見聞きする音楽に挑戦していくスタイルだった。それに対してGANGA ZUMBAは世界各地から色んなジャンルや年代のミュージシャンが集まって一つのものを作り上げていくスタイルだった」とそれぞれの音楽性をご本人の言葉でコメントされていて、それぞれの方向性がフラットな言葉で語られるのも、今このタイミングならではなのかも。

GANGA ZUMBAの中でも珍しいバラード曲です。銀河という曲を聴いてください」とスタンドマイクで曲紹介する宮沢さん。あれ、バンドメンバーが誰も出てきてないんですけど、これもしかして以前の"寄り道(弾き語りソロツアー)"でやってた"音連れ"てやつですか、え、またアレやるんですか、とビックリする私。

 

※音連れ……音の連れ合い、と書いて音連れ。その場に来られないミュージシャンの演奏や歌声を連れてきて、宮沢さんが一緒に歌う演奏。2011年の寄り道では、我如古より子さんの歌と三線と一緒に"西武門節"を歌ったり、GANGA ZUMBAの演奏にあわせて「楽園」を歌ったりしてました。つまりカラオケです。

 

シンと静まる会場。ステージを振り返って宮沢さん「メンバー呼ぶの忘れてた」。場内大爆笑。メンバーをステージに呼び、気を取り直して"銀河"。寄り道での弾き語りを聴いて「こんなにいい歌だったのか」と惚れ直した思い出の1曲。曲が終わると、そのまま伊藤さんのラテンなパーカッション。あれ、この音色とリズムパターン……そしてピアノの不穏なアルペジオ! とビックリした"天国へ落ちる坂道"。伊藤さんの重たいリズムと町田さんの情熱的なギターソロが引き立つ演奏。暖まった会場はそのまま"真夏の奇蹟"へ! これもライブでの定番だったダンスナンバー。

 

ここで宮沢さんがアコギを提げ、「この曲は20周年の時に皆への感謝などを込めて作ったけれど、今の心境にもマッチした」と紹介して"夢から覚めて"。GANGA ZUMBAでの活動が一段落した後にリリースされた、THE BOOM再始動シングル第一弾。「長い夢から醒めて/何をすればいいのだろう」という歌い出しは確かに、J-POPの道から離れた宮沢さんの心境にピッタリだなあと納得。

……あと、第二部途中から薄々気づいてましたけれど、この曲くらいから宮沢さん、めっちゃカンペ(タブレット)を見てました。久々の長時間のライブでしょうし、何より楽曲が多い人なので特に不満はないですけど、サビの「昨日よりも君に夢中さ」「昨日よりも恋してる」「さっきよりも君に夢中さ」てフレーズが混ざって「さっきよりも恋してる」になっていたのはちょっと笑いました。フフフ。

2009年の曲に続いては、00年代以降のライブで定番だった"24時間の旅"と"この街のどこかに"。町田さんのHSHのストラトがロックなオカズ、熱いギターソロを奏でて大盛り上がり。一気にクライマックスムードへ。

 

この日のMCでは引退から今日に至るまで、そしてこれからについての話も語られました。歌手活動の舞台を降りてから、心身の回復のみを考えて何もしなかった時期のこと。周囲から少しずつ歌う機会を与えられ、自分では満足な出来とは言えないまでも、少しずつ長い時間また歌えるようになってきたこと。これからは、かつてのようにバリバリ活動する(アルバムを出してツアーをやっていく)というわけではないけれど、自身のやりたい活動を続けながらまた歌って行きます、というお話。

 あと、どのタイミングでのMCかは忘れましたけれど。「歌を書いて歌っていくと、どうしても聴く人達から歌の中の人物像・イメージを期待されてしまう部分がある。時にはそれが辛いこともあったけれど、逆に、そこを踏まえてきて今の自分へと導かれた、という想いもある」という話が印象的でした。

 

ラストは新曲。来年リリースを目標に録音しているという歌達の中から、"海花藻(バイカモ)"。以前、THE BOOM最後のアルバムタイトル曲となった"世界で一番美しい島"が書けた時に「この曲を書くために音楽活動をしてきたんだ、と思った」と語っていた宮沢さんの新曲は、とても優しい言葉と、「ああ、やっぱりこれだわ」と沁みるメロディー。前を向きつつ、それでも、これまでのように何処かへ導いてくれるのではなく、そっと背中を押してくれる歌でした。

 

アンコールは"光"。十数年前の曲なのに「去年よりおととしより/知り合った日の君よりも/今ここで見つめている君が一番きれい」なんて、ずるいなぁー(?)と聴くたびに思います。そして「もう1曲やろうよ」とメンバーに呼びかけ、最後は"月さえも眠る夜"。アウトロ、繰り返されるフレーズの中で「Silent night,holy night,,」と歌いだす宮沢さん。ここで僕は今更今日が何の日かを思い出し、この歌が選ばれた理由などに行き当たり、ォォオーと一人大盛り上がり。最後の最後にやられました。

 

THE BOOMを解散し、GANGA ZUMBAまで含めたソロキャリアの活動にも一度ピリオドを打ち、再びステージに立った宮沢さん。御本人も"一線に戻るわけではない"ことを強調していましたし、このツアーが終わればまた暫くステージから遠ざかるかもしれません。もしかしたら来年の新作を出した頃に再び歌手を止める、と言い出すかもしれません。前回のMUSICKツアーは「ベスト盤出します」「来年1月からツアーやります」→年明け後「このツアーを最後に歌手活動を引退します」て突然の発表でしたし、もう、何が来ても驚くまい。

僕はただ、宮沢さんが周囲に振り回されず、今やりたいことに挑み続け、その途中途中でまた音楽に触れていてくれたら、それだけでうれしいです。

 

ずっと大好きだった歌手の久しぶりのステージを観に行って、「ああ、この人が好きで良かった」と暖まり、同時に力強く励まされた夜でした。

 

第2部セットリスト  ()内は収録アルバム

1.10月 (THE BOOM / 極東サンバ)

2.銀河 (GANGA ZUMBA / UM)

3.天国へ落ちる坂道 (THE BOOM / 百景)

4.真夏の奇蹟 (THE BOOM / FACELESS MAN)

5.夢から醒めて (THE BOOM / 四重奏)

6.24時間の旅 (THE BOOM / 百景)

7.この街のどこかに (THE BOOM / OKINAWA~ワタシノシマ~)

8.海花藻(バイカモ) (新曲)

アンコール

1.光 (THE BOOM / 百景)

2.月さえも眠る夜 (THE BOOM / FACELESS MAN)